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緊急特集

中国の水問題、上海の水問題

 

  2007年は中国にとっては環境問題元年といってもいいほど、環境問題に対する問題がいたるところで噴出している。その中でも、特に関心の高いのが水の問題だ。上海市が市民5067人を対象に行った「2007年度上海市民節能減排意識調査報告」でも、多くの市民が水の汚染が上海市で最も汚染が著しい問題である答えているところからも、市民の関心が非常に高いことが分かる。

1.改善の兆しが見られない中国の湖の汚染

  中国国家環境保総局の周生賢局長が、7月12日に行われた全国湖泊汚染政治工作会議でも、中国の湖の生態系の破壊が年々進んでおり、毎年20カ所の天然湖が消滅しているという現実を報告している。
 このなかで、農作地の灌漑や工業・生活用水のために盲目的に水資源を利用し、湖の現象に拍車をかけている。湖北省などではもっと深刻で、この50年間で1000カ所あった湖が300カ所にまで減少したという。さらに大規模にアオコが発生する可能性が日に日に高まっているとしている。
 中国では川・湖の汚染を、最も軽いⅠ類から汚染が劣悪な劣Ⅴ類まで段階t的に分類しているが、新華社の報道によると、アオコの大量発生で問題となった太湖で劣Ⅴ類、巣湖でⅤ類、雲南省の滇湖でも劣Ⅴ類となっている。これらはいずれも市民に欠かせない生活用水の水源でもあるため、問題は深刻だ。ちなみに太湖の湖なども、黄浦江を通じて上海エリアとつながっている。

2.工業開発区の違法な開発が止まらず

 2007年7月4日には、中国の環保総局は、汚染が特に深刻な長江・黄河・淮河・海河流域の6市2県4工業区に対して、新規開発を制限することを表明している。この背景には、流域11省の126カ所の工業区のうち、110カ所が違法な開発で、特に環境に対する評価も十分に行っていなかったことが明らかになった。また、汚水処理施設75カ所の抜き打ち調査で、38カ所で正常に稼働しておらず、調査した529企業のうち、234企業で環境破壊行為が行われていたことも明るみになった。いずれにしろ、まだ氷山の一角に過ぎないことが分かる。

7月3日に開発制限令が出された地区

 これら市・県・開発区に関しては、3ヶ月以内に環境問題に対して全面的な対策をとるように命令が出され、改善が視られない場合は制限令を解除しないと通告している。

長江流域:安徽省巣湖市と蕪湖市、蕪湖経済技術開発区
黄河流域:甘粛省白銀と蘭州科新技術産業開発区、内蒙古巴彦淖尓市、陝西渭南市、山西河津市と襄汾県
淮河流域:河南省周口市、安徽省蚌埠市
海河流域:河北省邯鄲経済技術開発区、河南省濮陽経済開発区、山東省莘県工業園区

3.長江上流域の洪水が上海にもたらす影響

 中国内陸部で続く記録的な大雨。上流部の汚染が、下流にもたらす影響が心配されている中、7月11日付けの『新聞晨報』が上流の汚染物質が上海エリアの水源地に影響を与え始めていることを報道した。ただ、興味深いのは翌日の7月12日付けの上海のメディア各社は、上海市水務局の意見として、汚染物質は下流に行くと希釈されるので、上海の水道水には影響はないと反論している。

 『新聞晨報』の報道では、中国国家城市供水水質監測網上海観測站の陳国光站長のコメントとして、最近上海市の水道の2カ所の水源である陳行ダムと黄浦江上流の水源で汚染の影響が出始めているという。

 長江にある上海市の上水道の水源、陳行ダムは上海市北部の宝山区に位置し、上海市の水道水の三分の一を供給している。ダムの面積は135万平方メートルで、このダムの上流4キロのところに、江蘇省から流れてくる瀏河がある。太湖をはじめとして、蘇州一帯の湖の水は、この瀏河を通じて長江に流れるため、汚染物質も長江へ流れてくると言うわけだ。さらに、ここ数日の暴雨により、瀏河の水かさが増しており、陳行ダムへの影響が心配されている。

 報道によると、7月10日の陳行ダムのアンモニウム態窒素濃度は3.6ミリグラム/リットルに達しており、これは通常時の0.15~0.25ミリグラム/リットルを遙かに超えている。
この水源から取水された水は、沈殿などの基本的な濾過を行った後、市内各地の浄水場にパイプを通って配水される。そのため、関係者は汚染度の数値の変化に眼を光らせているが、今のところアンモニウム態窒素濃度は0.4ミリグラム/リットルと基準値の0.5ミリグラム/リットルを下回っているものの、通常時よりは高いレベルとなっている。

 黄浦江上流域も、上海にとっては貴重な水源の一つだ。ここでも、2007年6月以降、水域の亜硝酸塩濃度が基準値を超えることが多くなっている。原因は、やはり上流域の生活排水と農業用排水、さらに工業廃水だという。一方で、黄浦江と直接的に関係している淀山湖に関しては、汚水処理施設を増設するなどより厳しい水質の管理を行っている。


  こうした汚染問題の深刻化に対し、上海市では2010年までに長江河口にある青草沙を上海市の第三の水源として利用する計画を進めている。この計画によると、1日719万立方メートルの水の供給が可能で、上海市民のうち、1000万人が恩恵を受けることができるとしている。
  上海市では、長江・黄浦江の水源地の水質観測を強化し、また水源地での沈殿過程を十分に行い、国家基準を下回るレベルにまでコントロールさせるほか、万が一汚染が悪化した場合にも、即時対応できる水のネットワーク構築を目指し、水道水の水質レベルを、国家基準以内に抑える最大限の努力をするとしている。

4.蘇州エリアでもアオコが発生

 一方で、7月入って、太湖流域に問題を起こしたアオコが蘇州エリアでも発生し始めている。高温のほかに、現在市内で建設中の蘇州市北環快速路の工事の影響で、一部河川の流れがせき止められているのも原因の一つとみられている。蘇州市内では、河川の水の流動が少ないだけでなく、常州・無錫からもアオコに汚染された水が流れ込んでいることが確認されており、アオコの汚染問題は、いまや付近一帯の問題となりつつある。ただ、蘇州の飲用水に関しては、現在は問題はないとしている。

2007年7月記・山之内 淳


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