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130年ぶりの大雨に揺れた上海


 今年に入って最も激しい大雨に見舞われた8月25日の上海。徐家匯では1時間に117.5ミリの猛烈な豪雨となり、130年ぶりに記録を更新した。市内各地で150カ所の道路が水浸しになり、11000世帯が浸水、上海各地の道路は寸断された。道路をまともに歩くことができず、靴を脱いで裸足で歩いている市民も多数みられた。

気象台は予想できなかったのか?

 1時間に100ミリを越える雨は、事前に予想ができなかったのか?上海中心気象台によると、これは意外に難しかったらしい。台風の影響で大気の状態が不安定であっただけでなく、冷たい空気と暖かい空気がちょうど上海上空でぶつかり合い、突然に雨雲が形成されたという。気象台のレーダーでも、25日午前には崇明島上空に雲が観測されていたが、6~7時頃には上海全域を覆うにまで成長したと報道されている。また、地域差も多く、上海市内中心部エリア以外にも浦東新区、閔行区、青浦区、南匯区などで1時間に100ミリを越える猛烈な雨が観測されたが、それ以外にもたった数ミリ程度しか降らなかったエリアのところもあった。最悪なことに、この日は大雨と朝のラッシュが重なり、市内の交通が麻痺してしまう結果となった。とくに、117.5ミリを記録した徐家匯では、都市の排水システムが追いつかず、被害を拡大させてしまった。
 ちなみに、上海市の水道部門によると、上海市内で設置されている排水システムは、1時間に27ミリ~36ミリの雨には対応できるが、これでは1年に1度程度発生する規模の大雨にすぎない。虹橋空港や浦東国際空港、虹橋開発区、浦東新区の陸家嘴、花木など比較的新しく整備されたエリアでも現行排水システムで対応できる降水量は1時間に50ミリ程度。そのため、100年に一度といわれる1時間118ミリの雨では、到底対応できないことになる。
 では、今後こうした100年に一度程度の規模の大雨に対応できる排水システムを設置するか?この問題に関して、結局はコスト的な問題もありその可能性は低いだろうと水道部門はコメントしている。よって、より正確な気象情報を出し、前もって避難情報を出せるようにするほうが得策とみているようだ。



トンネルもあっという間に浸水

 今回の大雨で被害の大きかった道路は、なんと言っても中環状線ではないだろうか。中環状線は、その多くが地下式の立体交差の構造で、一旦雨が降ると雨が溜まりやすくなってしまう。特に、中環状線の呉中路付近の立体交差では、深さ1.5メートルにまで水が溜まった。幸いけが人などは出なかったが、多くの車が水に浸かったほか、道路も10時間にわたって通行止めになった。こういった立体交差の水没が中環状線の7カ所で発生した。呉中路の場合、雨水を完全に排出させるまで20時間の時間を要したという。
こうした通行止めの影響で、出勤途中の市民の足を直撃し、出勤するのに自宅から7~8時間かかったという市民もいた。信号機も一部で故障し、当局の発表からでも25日午前7時~14時半までに発生した交通事故は3165件、車の故障は694件にもなった。バス・タクシーの公共交通機関も正常な運行ができず、混乱は25日の16時ぐらいまで続いた。

虹橋空港でも水浸しに

 大雨の影響で、虹橋空港・浦東国際空港では100便あまりが影響を受けた。航空便ダイヤが正常に戻るまで、半日の時間を要したが、虹橋空港でもターミナルAが水に浸かってしまった。特に、荷物受け取りのターンテーブルがあるエリア、ターミナルAの到着ロビーなどで被害が出た。ターミナルAにいた利用客の一部が動けなくなったため、臨時の通路を確保するなど対応に追われた。
 そのほか、上海のマンションに多い地下駐車場も、その多くが水に浸かってしまった。暴雨で一瞬のうちに水が流れ込んできたため、とても対応できる状態ではなかったという声が多く聞かれる。
 道路を普通に歩くことが難しくなったため、車高がある程度あり荷物をつむことができる3輪自転車が、10元程度の料金で人を運んでいたところもあった。バイクタクシーもいつもになく大忙しだった。
 

上海市、70億元を投入して排水システムの拡張へ

 いずれにしろこうした記録的な洪水が発生してしまったわけで、上海市も新しい対策を打ち出す必要がある。とくに、今回は長寧区など一部地域の被害が大きく、早急の改善が求められている。さらに、市当局も上海市中心では30%のエリアでまだ排水システムが完備されていないとしている。加えて、上海市内全体が地下鉄工事などで大工事現場化しており、排水システムに問題が生じていることも否定できない。また、工事現場の泥が流れ込み、排水ポンプの機能を低下させてしまったことも指摘されている。
 上海市の水道当局では、第十一5カ年計画期間中、70億元を投資して市内51カ所の排水システムを整備する計画で、このうち19カ所についてはすでに稼働している。残りも上海万博までには完成する計画だ。また、道路の排水がよくない問題に関しても、今後3年間に3億元を投資して、60カ所の道路で改善させるとしている。上海市全体の排水システムが完成するのが、2020年頃を目標としており、もう少し時間がかかりそうだ。

(2008年8月記 山之内 淳

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