芸術の殿堂・国家大劇院オープン

2007年末、北京の中軸を走る長安街のど真ん中に新しいコンサートホール「国家大劇院」が誕生した。 まるで別の星から突如北京に降り立ったかのような近未来的な姿は、悠久な歴史が色濃く漂う長安街においてまさに異色の存在。銀色に輝く大きくて滑らかなドームはいまや長安街のシンボルでもありアクセントともなっている。
この国家大劇院は、2007年12月22日から正式に一般開放が始まり、現在はオープン記念の各種公演が毎日のように行われている。一連のオープニング公演は2008年3月までの間、78演目計180ステージが行われるが、早くから市民の関心を集めていただけあってすでにチケットの入手が困難なほどの盛況をみせている。

長安街からの姿 |

オープニング公演の各種パンフレット |
国家大劇院は、客席2416席の歌劇ホールと、2017席の音楽ホール、1040席の演劇ホールの3つからなる。
音楽ホールには国内最大のパイプオルガンが設置されたほか、全てのホールは公演を最高に引き立てるための設備と環境が整えられており、さっそく多くの音楽家や音楽ファンの間からはこの劇場に対する賛辞の声が寄せられている。

演劇ホール内部 |

内部の見取り図 |

劇場の入り口は地下 この天井の上に人工池が広がっている |

各ホールの入り口は2階 |
そして、注目すべきはやはりその独創的な外観。長径212.2メートル、短径143.64メートル、高さ46.285メートルの巨大なドーム型の建物にはその名も“巨蛋”の愛称があり、まさに大きな卵が周囲を取り囲んだ人工池にぽっかり浮いているかのように見える。
国家大劇院は中国最大のドーム型の建物で、北京の工人体育場をすっぽり包むほどの巨大な鉄骨製ドームにも関わらず、内部には1本の柱もない。中からその天井を見上げてみるとあまりに美しい曲線に眩暈がするほどだ。
まずは目でこの大きな芸術作品を味わうことによって日常から非日常へと気分が高められ、その後舞台から押し寄せる芸術の波にすっと溶け込むことができる。この建物にはそんな効果があるのかもしれない。

目もくらむほど高い天井 美しい曲線にうっとり |

天井の木目が重厚な雰囲気を与えている |
国家大劇院建設の構想は、実は1958年に周恩来によって打ち出されていた。場所も人民大会堂の西側、まさに現在の位置が候補に上がっており、今とは随分異なるものの設計も完成、人民大会堂の建設とともに着工する予定だった。しかし当時の経済状態では実現不可能と判断され、中断を余儀なくされた。
約30年にわたってお蔵入りとなっていた国家大劇院建設の構想は、1990年に再浮上し、紆余曲折を経てこの度の完成に至ったというわけだ。
当初は長安街という場所柄、故宮や人民大会堂、天安門広場など周囲の環境を損なわず、中国の歴史と風格を体現した建物であることが求められていたが、コンペで最終的に残ったフランス人建築家アンドリュー氏が「歴史を打ち破ってこそ新しいものが生まれる」と主張。彼の熱意が多くの専門家たちの固定観念を動かし、ついに中国の新生と飛躍を象徴するかのような独創的な外観の国家大劇院が誕生した。

国家大劇院完成までの歴史が展示されている |

国家大劇場の模型 |
悲願の結晶であるこの新しい劇場からは、これから数多くの芸術が紡ぎだされていくことだろう。それは北京の歴史に見た目以上の厚みを与えるものとなるに違いない。
DATA
国家大劇院
北京市西城区西長安街2号
Tel:010-6655-0000
www.chncpa.org
(2008年2月記)
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