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冬の黄山へ行ってみよう!(前編)
~すばらしい樹氷と水墨画の美~


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 1990年に世界遺産に登録された黄山は、中国を代表する景勝地の一つで、中国人に限らず、外国人の間でも人気が高い。黄山といっても、一つの山を指すわけではなく、南北に約40キロ、東西に約30キロの面積約154平方キロメートルのエリアをいい、この中に合計約72の大小の峰が連なっている。標高は高いものでも1800メートル前後で、その中でも標高1810メートルの天都峰、標高1864メートルの蓮花峰はその形といい、険しさといい黄山の中でも特に名高い。登山するエリアの標高は大体1600メートル前後のところが多い。こういったゴツゴツの大きな峰が黄山には36箇所あるほか、小さなピークも36箇所あるとされている。

 

 2007年1月現在、天都峰は自然保護のために入山禁止となっているほか、安全のために冬季は蓮花峰も頂上までいけない。それでも、登山道から見渡す山々のシルエットと雪景色は非常に美しく、目の前に広がる水墨画の幽玄な世界に筆者もおもわず言葉を失ってしまった。

 
登山道はアイスバーンになっているのでくれぐれも注意を!


 黄山には「黄山四絶」と呼ばれる、人々から絶賛される特徴が4つある。それが、奇石・松・雲海・温泉だ。
 黄山エリアのほぼ80%で花崗岩が露出しており、大小さまざまな岩が姿を見せている。そして、その岩には今から400万年ほど前の第四紀氷河時代のもとされる氷河の跡が刻まれており、登山道からも見ることができるなど、地質学的にも貴重なエリアでもある。2003年には国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認証する世界地質公園「ジオパーク」に指定された。

 岩と岩の隙間に、強い風に耐えながらしっかりと根を伸ばしている黄山松は、標高600メートル以上のエリアに生息し、黄山の魅力を高めてくれる。この中でも、玉屏峰にある樹齢1000年を越えるといわれる「迎客松」のように独特な形をした松が多い。迎客松は黄山のシンボルとも言われる松で、黄山を登山したらぜひみてみたい。この山に植えられている黄山松はその昔、香り豊かですばらしい黒を引き立てる墨として文芸人たちに重宝された。


 黄山温泉は、中国でもかなり有名な温泉の一つに数えられるが、なにぶん整備が進んでいないために、我々日本人がいくとがっかりしてしまう。前海エリアの麓にあり、温泉大酒店という宿泊施設もあったが、今は改装のため姿を消している。現在5星クラスのホテルの建設が進んでおり、温泉とレジャー、宿泊施設を組み合わせた総合娯楽施設になる計画で、2007年中には完成することが好評されている。筆者も90年代後半に実際にこの黄山温泉に入ったことがある。日本の温泉情緒を髣髴させるような施設は一切なく、温水プールと小さな怪しい浴室のみで非常にがっかりした。そもそも源泉の温度は42℃で、加熱されない温泉はそのまま源泉から流れてくるので、プールに流れ着いたときにはすっかりと冷めてしまっている。ただ、ヌルヌルした感触はあった。いま建設されているホテルがどの程度のものなのか期待してしまう。山から下りてきてそのまま温泉につかれたら絶好の疲労回復となるだろう。

 黄山の開山の歴史も古い。唐代からさまざまな漢詩の中に黄山の景色が登場するところからも、いかに古代人がこの景色を愛でていたかわかる。そして、この風景を盛り立てるのが雲の存在だ。黄山登山はやはりまったくの快晴よりも、ちょっとガスがかかっているぐらいがちょうどよい。山が多くて日照時間が少なくなる関係から、ガスが出やすい。年間200日以上でガスが発生するのだが、その中でも晩秋~春にかけての時期でガスがよくみられる。

 2006年12月、上海から杭州を経由して黄山のふもと(屯渓)へいく徽杭高速道路が開通し、上海からだと4時間半~5時間ぐらいで黄山へいけるようになった。上海虹橋空港から黄山(屯渓)までいく航空便も飛んでいて、これだと1時間もかからないで麓の屯渓についてしまう。でもこれでは味気ないので、上海に住んでいる筆者としては、今回は鉄道で出かけることにした。


鉄道で黄山へ

黄山駅についた上海発のN518次寝台列車

 上海から黄山への代表的な寝台列車は上海22:02発のN518次。(黄山からの帰りは上海行きN520次で、黄山を22:33に出発)
 乗客の殆どが黄山への登山客といっても過言ではないだろう。夜22:02に上海を出発し、翌朝9時ごろに黄山に到着する。料金は1等寝台下段(軟臥 2段ベッド 4人部屋 施錠可能)で264元、1等寝台下段(硬臥 3段ベッド 開放式)で175元。寝台は下段が一番高く、上段が一番安い。もちろん座席車もあるが、こちらは出稼ぎ労働者たちが多く利用する。安徽省と上海を結ぶ貴重な列車の一つだからだ。筆者が取材に行ったこの日は、食堂車は営業していなかった。

 1等寝台の場合、上海駅南広場向かって左側にある軟席専用チケットセンターでチケットを購入できるので便利だ。ここのチケットセンターで購入できるのは1等車(軟臥)だけなので、そんなに人は多くなく、スムースに購入できるはずだ。チケットの買い方のコツとして、オフシーズンなら2人で下段を押さえると、4人部屋を独占することができることもある。まあ、これも運次第だが。

 また、上海-黄山なら上海で往復の乗車券の購入も可能。この場合、帰りの乗車券に対して1枚につき5元の手数料が取られるので注意が必要。中国の鉄道は混んでいることが多いので、可能な限り往復買うようにするのが賢明だ。
 なお、軟臥・軟席を利用する場合は、待合室も別。上海駅の場合、南広場から向かって右側に専用の待合室がある。硬臥・硬座の待合室は一般にとんでもなく混雑していることが多く、ベンチに座ることもままならない。初めて中国の鉄道で旅行するときは、軟臥・軟席のほうがよいかもしれない。

 では、後編では冬場降雪期お勧めのコースをご紹介しよう。

 冬の黄山を登る際の最低の注意を書いておこう。冬の黄山は、雪が降ることが多く、2月~3月にかけては大抵何がしかの残雪が残っているはずだ。そのため、防寒などもしっかりと対策しておく必要がある。

.アイゼンは必携。簡易アイゼンは、黄山駅や登山口となる湯口などにも売っている。1セット10元~20元ほどなので買っておこう。
.革靴やハイヒールで登っている中国人もいたが、かなり危険だ。最低でも運動靴、トレッキングシューズは必要。
.冬場の登山では、ジーンズや綿パンなどで登るのは避けたほうがよい。雪が降っていなくてもとにかくぬれやすい。ぬれても大丈夫なウインドブレーカーのズボンやスキーウエアのパンツなどがよい。上海市内のディカノン(迪●〔=上と下という文字を上下に合わせたような文字〕儂)などのスポーツ用品専門店で登山道具一式がそろう。
.お湯を入れることができるポットを持参しておこう。山の上ではお湯を分けてもらえるので、便利だ。

 山は天気が変わりやすいので、雨具は必携。とくに黄山では傘は役立たない。1800メートル程度の山と思わず、相応の準備をしておくことを忘れずに。

 
(左)街の行商人がそこらじゅうで売っている簡易アイゼン 靴にゴムひもで固定できる簡易製だがなかなか役立った
(右)かなり本格的な装備をして登る人も多い

(2007年1月記 山之内 淳

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