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中国で多いB型肝炎キャリアについて
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中国衛生部が、2008年春に、2006年の中国でのB型肝炎に関する血清の流行病学的調査の公表を行い、その最新のデータを公表している。B型肝炎ウイルスのキャリアが9300万人もいる中国では、その対策が大きな課題となっているが、そろそろ成果も出始めている。
B型肝炎ウイルスのキャリアについて
中国でよく言われるB型肝炎ウイルスのキャリアは、主にHBsAg(HBs抗原)が陽性だが、肝機能も正常で、症状もなく、肝臓の病理検査をしても正常である人たちのことを指す。中国では、かつて人口の10人に1人がこうしたキャリアであると言われていたが、その割合は総じて減少傾向にある。
2006年のデータでは、現在の中国のB型肝炎ウイルスキャリア率は、全人口の7.18%で、1992年の9.75%と比較すると、26.36%の減少となっている。特に、1~4歳の世代のキャリア率は0.96%で、15~59歳のキャリア率8.57%と比較すると大幅に減少していることがわかる。これは、生まれてすぐにB型肝炎の予防接種を受けさせていることと大きく関係がある。
今回行われた中国全国の1~59歳までの81775人を対象とした調査でも、特に1~14歳の世代に関しては、予防摂取率は81.56%にもなっている。上海に関して言えば、この数字は100%に極めて近い状態となっているはずだ。
中国でいまだにB型肝炎のキャリアが多い理由の一つには、やはり母子感染によるものが大きい。さらに、免疫力の弱い子供たちが成人と接触して感染してしまう場合もあると言われている。そのほかに、本人が全く気がつかない間に感染してしまった場合も多い。その場合は、普通の日常生活をしていても全くの影響はなく、自分自身の免疫力でHbsAg(HBs抗原)が陰性に戻ることもないわけではない。しかし、数%の割合で肝炎が発病したり、肝臓癌になる可能性も高くなるといわれている。
消毒液や消毒器機の普及、健康証明の重要性
B型肝炎の感染ルートは、主に輸血や注射など血液を介して感染することが多いが、一部では唾液や精液などHBVを含む血液が混入した体液からも感染することがあるといわれている。そのため、中国では飲食業や子供の保育などに携わる人は、B型肝炎キャリアではないことを示す健康証明の取得が義務づけられている。もちろん、献血もできない。ただ、一般の職種に関しては特に問題なく、逆にB型肝炎キャリアであることを理由に解雇などをすると差別や蔑視だとして訴えられることもあり、注意が必要だ。毎年、B型肝炎キャリアの人たちに対する就職差別が社会問題になっている。
一方で、上海のスーパーなどに行くと様々な消毒器機が販売されていることに気がつくだろう。これは、肝炎が多い土地柄だけに、上海人の間に肝炎に対する知識が普及してきていることを示している。例えば、家族や親戚の中に、B型肝炎ウイルスのキャリアがいる可能性が十分にあるわけで、そういうところでは消毒などに十分に気を遣っている。もちろん、家事を任せたりするアイさん(家政婦)に関しても、家族の健康を守るために健康証明を所得させることが望ましいし、正規の家政婦の紹介所から派遣されたアイさんは、普通、健康証明を所得している。そのほか、食事をするときは自分の箸でおかずをとらない、歯ブラシなどを共有しない、女性の月経時の衛生に気をつけるなど基本的なことを注意する必要がある。
流動人口の増加、格差の増大
確かに、1992年以降、中国ではB型肝炎のキャリア率は減少してきた。しかし、中国はいま長寿化社会を迎えており、大量のB型肝炎キャリアが高齢化している。そのため、新生児の予防接種率が高まっても、大幅なキャリア減少は望めない。そのためにも、中国内陸部や流動人口が多いエリアでの新生児への予防接種は急務だ。
中国の場合、地方から上海など大都市に来た場合で、さらに3ヶ月以上その場所に滞在する場合は、その地区の予防接種プログラムで接種を受けなければならない。最近、中国の沿海部では麻疹(はしか)の患者が増えている。これは、地方からの流入人口の増大と関係があると言われており、一部地方では麻疹ワクチンの予防接種が完全に普及していないことと関係がある。その為、各地の衛生部門では麻疹ワクチンの接種に力をいれている。ただ、麻疹と比べて、B型肝炎の予防接種は多少厄介だ。中国の場合、B型肝炎の予防接種は3回に分けて行われている。生まれて24時間以内に1回、続けて1ヶ月後に1回、6ヶ月後に1回となっている。このうち、1回でも接種を受けなければ、B型肝炎の免疫の効果は下がってしまうといわれている。B型肝炎に感染している母親から出生した新生児に対して、感染予防をせずに放置した場合、キャリアとなる可能性が極めて高いと言われている。そのため、中国では新生児について、特に予防接種に力を入れている。
もちろん、中国渡航前に日本で成人がB型肝炎の予防接種を受けることは可能だ。とくに、感染リスクが高い職業の方は、予防接種を受けることが望ましいといわれている。
肝炎に関しては、本コーナーでも以前にA型肝炎が大流行した上海の実態を紹介したことがある。これ以外にも、中国に渡航する場合は、B型肝炎に対する知識をしっかり身につけておきたいところだ。
(2008年10月記 山之内 淳)
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