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| 浦江飯店の外観 |
上海のオールドホテルを語る中で、絶対忘れてはならないホテルのひとつである。今から160年あまり前の1846年に創立されたこの浦江飯店の原型は、上海で最も古い西洋式オールドホテルとして、今でもその彫りの深い外壁に、当時の面影を強く残している。蘇州河と黄浦江が交わるあたりに位置し、窓から黄浦江を行きかう船を覗くことができる。
浦江飯店はその昔、礼査飯店と呼ばれ、いまの蘇州河の河口付近にはなかった。1846年創立当初は、英国商人A. Richardはちょうど英国租界の南の端に外灘の金陵東路付近にホテルを建てた。上海開港後、商売人などが上海にどんどん上陸し、このあたりには宿泊施設が少なくなかった。そこで、A. Richardが建てたホテルの名前はRichard's Hotel and Restaurantと呼ばれ、そこから中国語名の礼査飯店が出てきたことがわかる。
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| 蘇州河にかかる外白渡橋 |
1856年にあの有名な蘇州河を渡す外白渡橋の原型が完成した。その当時、まだ蘇州河北岸は漁民が網を干すような空き地で、A. Richardはこの土地を安く買い取り、ホテルが建設された。記録によれば、当時のホテルは木造レンガ造りの2階建てで今より規模は小さかった。その当時の上海としてはかなり辺鄙なところだったらしく、開業当初の営業はさえなかったようだ。
その後、1860年に英国人Henry Smithがホテルの経営を引き継ぎ、Astor Houseと改称、このころから外国人を接待するホテルとしてサービスの拡充が図られた。外国人の急増とともに、外灘エリアにはホテルが増えてくる。現在の和平飯店(リンク)の南楼となる匯中飯店などもそのひとつだ。そこで、見栄えのしなかった2階建てを一気に建て替えることになり、1910年に現在の5階建てホテルの原型が建設された。 ホテルの改装により、当然利用客も増え、匯中飯店に匹敵する料金であったことから、その当時上海ではトップクラスのホテルであったことがわかる。
その当時、敷地面積は3900平方メートル、建築面積は15011平方メートルで、鉄筋コンクリートの木造レンガ造りの混合建築。英国ビクトリア王朝時代の風格を漂わせる、ノスタルジックなイメージの高級ホテルだったようだ。ただ、そのデザインのために客室への日当たりはいまひとつであった。1922年に改装された孔雀廳は、1階ロビーの奥にあり、500人は収容できるスペースを誇った。
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| (左)玄関部分 |
(右)エントランス |
日中戦争期間中は、一時日本人が経営していたこともある。1946年に中国人の手に渡り1階の孔雀廳は、23の部屋に区切られ、商店や娯楽施設が入居した。1950年に再びイギリス人の手に渡ったが、市が負担した補修費用の支払いを拒んだため、1959年より政府が管轄して浦江飯店と名づけられた。
文化大革命のころに、ホテルの大部分が破壊され、当時の面影をみることすらできなかったこともあった。1990年には、今は浦東に移転した上海証券取引所が1階ホールに入っていたこともあった。さらに20世紀末には取り壊しの噂さえあったが、なんとか修復に持ち込まれた。
近年、大規模な修復工事が行われ、かなり細部にわたって当時の面影を見ることができる。木でできた窓枠も当時の風格を残すべく、木をデザインした特注のサッシが使われている。 その当時極東一といわれた大ホール、孔雀廳も当時の面影を伝えるべく再現されている。未だに、廊下はギシギシと音が鳴る木張りだが、それはそれで味があるといえよう。比較的オリジナルの様相を残しているホテルだ。1922年に作られた孔雀廳は、1階ロビーの奥にあり、500人は収容できるスペースを誇った。今ではレストランとして使われており、見学することができる。ここのレストランの上海料理は値段も比較的リーズナブルでお勧め。往年の面影を残す優雅なホールでは、時折結婚式なども行われている。
1階にはちょっとレトロな雰囲気のある喫茶コーナーもあり、散歩に疲れたら一服するのも悪くない。
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| (左)風格ある廊下 |
(右)変化に富んだ天井が美しい |
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| (左)孔雀廳の屋根 |
(右)3階吹き抜け部分に設置された展示室 |
◆浦江飯店の持っているさまざまな記録◆
- 1867年 中国ではじめてガスが用いられる。
- 1882年 中国ではじめて電灯がともされる。
- 1903年 中国ではじめて1つの客室にバスルームを配置したホテル。
- 1908年 中国で最も早くエレベーターを設置(3台)したホテルのひとつ。
- 1908年 中国ではじめて映画を放映。
- 1910年 上海ではじめて水道水がついた建築物のひとつで、100年近く前ですでに24時間対応の給湯設備をもつ。中国ではじめて電話が設置され、さらに各部屋にまでも電話が設置されたのも有名なエピソードのひとつ。
- 20世紀の初頭、週末には社交パーティーが開かれ、名士たちの交流の場となった。以降、上海で社交ダンスが流行するはしりともなる。
◆世界的著名人が宿泊したホテル◆
- 1879年 アメリカ第18代大統領 S.Grant 4階410室
- 1895年 李鴻章
- 1920年 英国の哲学者 Russell
- 1922年 アインシュタイン 3階304室
- 1931年 1936年 Charles Chaplin(チャップリン)4階401室
そのほか、周恩来、江沢民、胡錦涛など歴代の政治家たちが宿泊している。有名人たちが宿泊した部屋は、今もネームプレートとともに表記されている。
(2007年1月記 山之内 淳)
~・~・~浦江飯店~・~・~
ランク:★★★
住所:上海黄浦路15号
電話:021-63246388、021-63077157
FAX:021-63243179
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※ホテル3階には、ホテルの歴史を展示した展示室があるので、こちらも必見。 |