さあ、一年ぶりの上海ファッション通信。上海に住みはじめ、ワタシは3度目の春を迎えようとしている。振り返るにはまだ短い時間だけれど、10日で1フロア仕上がると噂の高層ビルは、春の筍の如くニョキニョキと勢いよく、2010年の上海万博まで11号まで増えるという地下鉄路線は、親竹が根を張るかのように、ニョロニョロと伸び続けている。(現在7線が完成)そのスピードは、来海した当時から緩むことなく、加速している。
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上海っ娘のファッションも上へ上へ偏差値急上昇。どぎついセンスに目が馴れたというのではなく、確実に洗練されつつあるのだ。彼女たちの好みや流行をチェックできる長楽路、新楽路に軒を連ねる小さな店は、入れ替わり立ち代わり、モノトーンやベーシックな色合いの服を正しくクールにディスプレイした店が人気を集めている。プラザ66あたりのブランドも気になるけれど、お小遣いで買える額でない。工場落ちの手頃なもので気に入ったのをいかに安く手に入れるか、というのが彼女たちのおしゃれ購買欲の核。高くていいものを長く使うという考えの上海っ娘は、まだ少ない。


といっても、路が悪けりゃ、いい靴履いても傷みが速い。水が悪けりゃ、気に入った服を洗濯しても傷みが早い。縫製悪けりゃ、2~3回の洗濯で服のラインが崩れてしまう。嘆きの歌を口ずさんでみたくもなる。長く使おうと思っても、環境がそうさせないのだ。
今でこそ、日本の女の子たちのあいだでは、ToccaやDawnyの香り高いおしゃれ着用洗剤や柔軟剤を使って手洗いする習慣がスタイルとしてあるけれど、“今”を楽しむ上海っ娘の生活スタイルには、まだまだ、まだまだ、ま~だまだだ。ああ、上海において、ベーシックでよいものを、末永く愛用するということはなんと難しいことか!
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嘆いてばかりもいられない。前へ前へ、上へ上へと伸びるのだ。おしゃれが繰り返されれば、上手になり、洗練されてくる。その手本となるのは、日本や欧米系のファッション誌。中国人の友人宅のホームランチで知り合った中国人男子デザイナー曰く「30代女性は欧米系、20代女性は日本や韓国の影響を強く受けている」のだとか。ここのところ、色の組み合わせがハチャメチャな女の子は影を潜め、ベーシックカラーの服にキラキラ、デコラディブ、色のインパクトがある小物で個性を出した女の子が台頭してきた。ときに、きれいな色や柄をポイントに大胆に取り入れて、目を引くおしゃれな女の子も。聞いてみると、服はZARAやH&Mで買って(特にセール時期は要チェック)、ボルドー色のエナメル風バッグは服飾市場で買ったという。

さらにあるとき、「上海の女の子って、色使いが独特だと思うんだけど。どう思う?」と同年代のファッション関係の仕事をしている中国人男女4人がいた席で、そんな質問を投げかけた。「この秋冬は黄色のコートが売れた」、「若い女の子は派手だよ」とか「ファッションにおいて、雑誌の影響は強いけれど、色に限っては流行に関係なく、自分の好きな色を着ている人が多いんじゃないかな……」と言いながら、苦笑い。その場にいた全員が黒、紺、グレーといった色の服だった。
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さて、昨年春、ワタクシゴトながらシルクのプリントを使ったオーダーメイド(パターンオーダー)の服や小物を扱う店を始めた。周辺は欧米人が多いのだが、ビジネスセンターが何棟かあり、そこで働く上海OLのお客さんも多い。オレンジやピンクの華やかな色のプリントが人気だが、それをどう着まわすかについて、色々質問もされる。提案をすれば、おしゃれ心が刺激されるのだろう。パッと表情も明るくなる。
自分にどんなスタイル、どんな色が似合うのかが、まだわからない20代半ばの上海っ娘も多い。右肩あがりのコーディネート力に対して、着まわし力は発展途上の印象だが、彼女たちのおしゃれに対する探究心は熱い。アッという間に高偏差値を記録しそうだ。
(文・写真/石川リエ 2008年2月記)
石川リエのブログ「Mrs.上海」
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