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■■第15回 おとなしいと得なの - 母、先生と話す■■

先生が到着してようやくクラス活動が本格始動しました。1年生からコンピュータ、ダンス、ライブラリーなど豊富な科目が有り、彼の好奇心のアンテナが刺激される毎日です。小さな学校なので「リセス」と呼ばれる外遊びの時間にはクラスや学年の枠を超えて遊んでいるようでした。
ただ、3週間ほどした頃から「おとなしいと得なの。」と子どもは私に訴えました。
子どもは毎日プランナーと呼ばれる連絡帳を持って帰ってきます。そこに先生が毎日の学習態度を良い順に緑、紫、黄色、オレンジ、赤で色分けしてマークするのです。学校に朝来た時は全員緑からスタート。授業中先生が話している時にふざけたり、休み時間にもめごとがあったりすると、その都度1ランク、物事の程度によっては一度に2ランク以上下がります。下校の前に連絡帳にその日の最終的なスコアが書かれます。
どちらかというと厳格な先生は、幼稚園の担任の先生とはかなり勝手が違う様子で、子どもはまだ戸惑っているようでした。
子どものプランナーには初めの頃、「緑」や「紫」といった良いスコアが並んでいました。子どもの調子に乗りやすい性格から考えると、こんなはずはない。2週間ほどしてようやく「黄色」を取ってきました。やはり「良い子」に振る舞おうと無理をしていたようでした。私も夫も少し安心しました。
親にとっては子どもが学校でどのように過ごしたかわかるのはある意味ありがたいことですが、毎日のことを細かく知らせてもらう必要はありません。子どもにも気分の良い日もあれば、悪い日もあります。
子どもには、「無理に良いスコアを取ろうとする必要はないけれど、学校は幼稚園と違うことをよく考えて、クラスのルールに従うこと。また先生にもいろんな人がいること、先生のいいところも探してみること」と言い聞かせました。
レイティングに関しては「おとなしくしている子はいつも緑、だから自分も先生の前ではおとなしくしている」と子どもは理解しているようでした。確かに何事もなくおとなしくしていれば「緑」で一日を終えることができます。でも注意を怠るとスコアが落ちてしまう。学校が始まったばかりで、やる気満々の息子は少し無理をしてがんばっていたようです。
そうして迎えた最初の先生との面談。私は学習態度のレイティングについて、子どもが感じているストレスや、おとなしくしていれば良いスコアが取れると学習していることを話しました。先生はショックを受けている様子でした。
先生は、このシステムはアメリカではごく一般的に行われていて、決して厳しいとか特別なことではないので、変えようとは考えてないようでした。但し子ども達がストレスに感じないように努力すること、またクラス全体を活発にしていくと話してくれました。
私は一旦スコアが下がっても再び上る、セカンドチャンスの機会を子どもに与えてほしいこと、またできるならこのレイティングをもっとシンプルなものにしてほしいと頼みました。
この辺りは親のチャレンジが必要なところです。英語の先生との面談は英語、中国語の面談は基本的に中国語で行われます(英語がまじることも)。中国語と英語間の通訳は付けることはできますが、日本語の通訳はいません。学校や担任と話すためには、親も英語か中国語で子どものことを最低限の説明ができる必要があります。当然自分の意見をストレートに、そして理論的に言えることが求められます。子どもに問題があれば、まず先生の方から話がありますが、基本的に親の質問に答える方式ですから、先生の話を引き出すには、あらかじめ質問を考えておく必要があります。また日本語のように回りくどい説明をしてもわかってもらえません。でも、私の知っている限りお子さんをインターに通わせている日本人のママさん方はお話し上手。こうなると語学の問題というより、表現力の問題ですね。
日本の学校と違い、学校のシステムに不明な点があったり、不慣れなことも起きます。その場合は遠慮なく学校や担任に確認します。私は、緊急時以外はEメールでオフィスや担任の先生と連絡を取っています。その方が記録も残りますし、お互い都合の良い時間に返答できるので便利。
結局学習態度の色分け評価の件は表向きには何も変わりませんでした。しかし子どもは私から良い子でいる必要はないと言われて気楽になったのか、レイティングに慣れたのか、また先生が子どもに一歩近づいてくれたのか、その後は段々リラックスして授業を受けているようでした。先生と私も何か気になることがあったり、質問があれば、互いにEメールでやり取りを重ね、信頼関係を築いていきました。息子も1年生の途中には先生が大好きになっていました。
(林 秀代 2008年02月記)
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