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第10回 お友達を家に呼びたいの


 春節が過ぎると子どもはお友達を自宅に呼びたいと言い始めました。すでに日本人のクラスメートには何度か遊びに来てもらったことはありましたが、他の国の子どもたちを呼んだことはまだありませんでした。

 私は毎日送り迎えをしていたので、お友達の方も大分気心が知れてきて、うちへ遊びに行きたいとリクエストされることも何度かありました。我が家は幼稚園からも近いので、放課後お友達に遊びに来てもらうことにしました。本当はクラスの全員に声をかけたいところですが、全員に目が行き届かなくなるのは怖いですし、何よりもそれだけの人数を我が家では収容できないので、男の子中心に呼ぶことにしました。

 まずはインビテーションを書いて、クラスメートのロッカーへ入れておきました。子どもたちはお手伝いさんが送り迎えしたり、スクールバスの子もいるので、朝夕必ず親と顔を合わせるとは限りません。後でご両親のどちらかから私に電話かメールをもらえるようにしておきました。日本だとこういうことは大抵母親がハンドルしますが、ドイツ人のお父さんは自らお電話してこられました。電話を受けたときは何か問題があったかと思いましたが、極めてフレンドリーでホッと安心しました。そういえば、朝夕の送り迎えもパパが来る家庭がけっこうあります。自分の常識が相手の常識ではないんですね。


 当日の放課後の最大の課題は子どもたちをうちへ安全に連れて行くこと。他のママさんや先生の手助けもあり、元気のいい男の子たちを数人ずつしっかり手をつながせて、なんとか関門である道路一本を渡ることができました。中国では車優先の社会なので、信号のある横断歩道ひとつ渡るのもとても危険です。

 公寓の敷地内に入ると、安全地帯だということは子どもたちでもわかっているので、リラックスして走り出しました。幼稚園の男の子が6,7名集まるのですから、家の中はたいへんです。普段は家でも靴のままの子どもたちもいますから、まず玄関で靴を脱ぐところから言わねばなりません。おやつとジュースをあげると、すごい勢いでなくなってしまい、遊び部屋へゴー!子どもの遊び部屋には日本から持ってきたおもちゃがたくさんあり子どもたちは大喜びです。北京では日本のおもちゃも売られていますが、もちろん高級品。部屋の中はたちまちおもちゃの海になってしまいました。あとは「どうぞご自由に」です。

 しばらくして外にでて遊んでおいでと提案すると、全員一斉に外へ出て遊びに行きました。我が家の住宅はビラタイプで敷地内に子どもが遊べるスペースがたくさんあり、幼稚園児でも子どもたちは気の向くまま一人で外へ遊びに出て行きます。大抵のクラスメートは高層マンションに住んでいるので、これほど自由度が高くはありません。マンションを出ても日本のような児童公園は街にはありませんから北京のどもたちは思うように外遊びができないのが現実。子どもたちが家から出るときはいつも大人と一緒です。

 子どもたちは公園の遊具で遊んだり、敷地内を探検したり、かくれんぼをしたり遊んでいました。お砂場遊びは砂のやわらかい感触がとても気持ちよかったようです。後で考えると確かにこちらのマンションのプレイジムでは砂場は見たことがありません。珍しかったのでしょうね。


 子どもがお友達と遊んでいるのを見ていると、シンプルですがそれなりの英語を話しています。何と言っていいのかわからない場合は私に単語やフレーズを聞いてきます。お友達が来てくれたことにとても興奮していて、得意げに話しています。表情豊かで日本のお友達と遊んでいるときとは違った雰囲気です。普段自分が見ている子どもとはまた違った感じでおもしろいなと思いました。

 香港人のお友達は、うちの子どもとは英語、中国系の友達とは北京語、弟とは広東語で話しているのにびっくり。ちゃんと3つを使い分けています。他のお友達もまだ幼児なのに2ヶ国語、3ヶ国語を操ります。

 冬なのに外で汗をかくほど遊んで帰ってきました。

 すっかり暗くなったら一人、また一人とお迎えにママ、パパたちが来られました。全員無事帰宅してホッとしました。子どももいっぱい遊んで疲れたのか、夜はぐっすりでした。


 子どもたちは楽しかったのか、その後よくクラスメートからうちへ遊びに行きたいというリクエストをもらいました。外で子どもたちが自由に遊べるので、ママさんたちにも好評でした。一緒にクッキーをつくったり、夏はプールに入ったりといろんな遊びをして、結局その後何度も子どもたちが遊びに来てくれました。私も自分自身の負担にならないよう、子どもたちが気軽に遊びに来やすいように、ズボラで手間はかけず、安全面だけ注意して子どもたちを自由に遊ばせるようにしました。

 子どももその後お友達の家に遊びにどんどん呼ばれるようになり、残り半年の幼稚園生活はより一層楽しいものになったのでした。

 次回は幼稚園で科学!です。

(林 秀代 2007年9月記)

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