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■■第6回 教えてないのに話してる!■■

中国に住んでいるのですから、たまには中国語の話しをしましょう。
息子は北京に来て2ヶ月ほど経ったある朝、同じ公寓の友達の家に電話をかけていました。一緒に遊べるかという電話です。友達は日本人です。
「你好、○○在嗎?」
と突然中国語で話し出すでは!こちらではアイさん(お手伝いさん)がよく電話に出ます。その後何度か落ち着き払って「ウン、ウン」と相槌を打った後、「OK. 再見」と言って電話を切りました。
子どもに聞いてみると、友達はまだ寝ているのでまだ遊べないとのこと。私達はまだ子どもに中国語を教えたことも、中国語学校に通わせたこともありません。どうしてそんな事がわかったのか不思議でした。子ども曰く、「ター・シュエイジャオ(他睡覚)なので、後で電話してくれる。」と友達の家のアイが言ったそうです。なぜ「寝ている」を表す「睡覚」がわかったのか?自分からアイに話せたのか?しかもなぜこんなに落ち着き払っているのか?こっちは語学学校に通っている身ながら、電話で中国語を話すなんて、当時はとてもできません。
私は子どもにたくさんの言語を一度に教えると混乱するかと思い、あえて、この時期は中国語を習わせていませんでした。私が日本から持ってきた中国語会話の本とDVDを子どもは家で見ては、数字や、ごく簡単な言葉を知っている程度。我が家のアイさんは子どもが幼稚園に行っている時間帯に来るので、子どもと遊ぶことはありません。また、公寓内は日本人居住者が多く、服務員も日本語や英語を話す人がいます。基本的に子どもが中国語を覚えるリソースは幼稚園ぐらいしかありません。でも一応英語のプログラムです。
日本では考えられませんが、幼稚園にはアイが数人おり、ロッカー付近で荷物を整理するアイ、トイレにはトイレ専門のアイがおり、ランチのときにもアイが数人付き、子供たちの身の回りの世話をしてくれます。アイの中で英語を話す人はほとんどおらず、中国語だけの会話となります。つまりアイとコミュニケーションを取るためには中国語で会話する必要があるのです。
もちろん中華系のクラスメートも多いので、クラスでは英語プラス、中国語も飛び交っているようです。食事や遊びの時間では中国語も覚えないと、遠慮のない子どもの世界では生き残れないことを、すでに息子は学習したのかもしれません。言葉だけでなく、心臓まで鍛えられている気がしました。そういえば、幼稚園に通いだして間もなく、家で私に「快一点、快一点(早く、早く)」と言っていました。
また、ある日のこと、子どもが、「おかーさん、シーグアって知ってる?」と聞きました。
私は「もちろん!スイカ(西瓜xi1gua1)のことでしょ。」と言うと、
すると、そうじゃないので、ちゃんと聞くように叱られました。では、何か?なんと「ストロー」のことでした。ストローは中国語で(吸管xi1guan3)です。降参!知りませんでした・・・・・。
子供は多少の中国語が話せることがわかったので、公寓のスーパーまでお使いに行ってもらうことにしました。
納豆と牛乳を買ってくるよう頼みました。納豆のブランドを教え、牛乳は6.5元のもので今日から一昨日までの日付のものを買うよう言いました。納豆は冷凍ケースの中にあり、牛乳は二種類、しかも高い場所に陳列してあり、どちらも子どもには届きません。つまりスーパーの人にお願いしないと、買うことができません。
子どもはお金を持って元気に家を出て行きました。
しばらくして帰宅した彼が持っていた袋の中を見ると、納豆は指定したブランドのもの、牛乳は6.5元の昨日の日付のものを買ってきました。パーフェクトです!
聞くと、スーパーの中にいたガードマンに説明して取ってもらったそうです。
というように、特に中国語を習わせなくても、毎日の生活の中で子ども特有のアンテナを出し、3,4ヶ月で必要な情報はキャッチしているようです。日常生活で使う程度の簡単な語句や文だけでしょうが、段々とマスターし、それほど困ってない様子で安心しました。結局子どもが一番シビアに中国語を学習しなければならない生活を送っているのですね。それに引き換え、大人の語学学習はなんてゆっくりでしょう。一度聞いたぐらいでは頭をかすめる程度、何度も覚えなければなりません。しかもイザとなると頭から出てこなくて、使えないことがよくあるのですから。
子どもの頭ってどうなってるんでしょう・・・・。
(林 秀代 2007年6月記)
エクスプロア連載「オリンピックを迎える北京」
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