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中医学についてのクチコミ情報


中医学

中国伝統医学のことを中医学と呼ぶ。本家本元の中国で中医学を体験できるのも中国生活の醍醐味の一つであろう。中国の文化だけに、中国人の中医学への信頼も厚い。また薬局に行けば、生薬も身近に手に入るし、中医学専門の病院も数少なくない。中医学の範疇は広く、生薬だけでなく背鍼灸や推拿よばれる中国式マッサージ、気功なども含まれる。中国ではこれら伝統的な治療法を総合的に活用した治療法が今でも生きている。

中国人の健康意識と中医学

霜が降りるような晩秋になると、いよいよ上海蟹の季節だ。この上海蟹を食べるとき、一緒に生姜湯や黄酒を飲む話はあまりにも有名だ。上海蟹は体を冷やす作用があるため、食後には体を温めてあげる必要があるからだ。そのため、体が冷えやすい人などが、蟹を食べすぎると下痢を起こしやすい。こういう日常的な食生活にも、中医学の理論が生きている。この蟹、実は古代文献を紐解くと、火傷や腫れ物の治療薬として使われたこともある。栄養価も高いだけに、医食同源の中医学を象徴するような食品だ。

その他にも、食べ物の習慣を見てみると、中国人の日常食生活に、中医医学が生きていることがよくわかる。秋の終わりから冬にかけて市内のレストランに行くと「冬季進補」と書いたポスターをよく見かける。中医学でおなじみの「陰陽」で言えば、冬は「陰」がもっとも盛んな季節で、気候も寒くなり、多くの生物は冬眠に入り、動きが止まる。そして陰暦の11月になると、冬至がやってくる。この時から「陽」がだんだんと盛んになってくる。従って、この時期に体を補うような食品を食べると陽気の活動を助けてあげることになり、迎える春に病気にならないよう予防すると言われている。このことを「冬季進補」と呼んでいる。「冬季進補」のメニューは、羊肉・牛肉・狗肉・烏鶏など体を温めて補う温性の食材を多く用いてある。このように、薬膳料理まではいかなくても、四季によって様々な味わいが中医学とともに関わりあっているのも興味深いことだ。

冬になると、中国人の女性はほとんどスカートをはかない。いまでこそファッション性からスカートをはく女性も増えてきたが、それでも日本と比べると少数派だ。実は、生理不順や生理痛など婦人病の多くは、中医学で言う「寒邪」となんらかの関係があると考える。そのため体を冷やすことは言語道断なのだ。

当然、日本にも漢方医学を中心にしたさまざまな食文化・生活文化があった。残念ながら、それらの多くは語り継がれることなく、息絶えてしまったのは実に惜しいことである。


中国伝統医学(中医学)と漢方医学

日本人は伝統医学や生薬といえば、漢方医学といったほうが馴染み深いかもしれない。しかし中国人からすれば漢方医学は漢方(HanFang)と呼び、日本の伝統医学を指すのだ。一方で、中国の伝統医学はあくまでも中医学とよぶ。最近、日本の書店でも中医学と漢方医学のコーナーを分けているところが多い。日本の医学界でもそれぞれの系統に分かれており、それだけに二つの医学には大きな違いがある。

とはいっても日本の漢方医学は中医学の影響を深く受けていることは否定できない。それは日本と中国との交流とともに育まれて来た。たとえば遠く奈良時代に鑑真が日本へやってきて、仏教だけでなく中医学をも日本に伝えたことはあまりにも有名である。これら遣唐使、遣隋使が盛んだった時代には、多くの日本の医師も中国へ留学して中国医学を勉強したのだ。ところが明治時代、文明開化の時代に入って、西洋医学が台頭してきて、漢方医学の発展が大きく阻害されてしまう。その結果、韓国、中国など日本近隣のアジア諸国が自国の伝統医学を教える国立の大学を設立し、伝統医学の医師としての資格を残してきたのに対して、日本では一部鍼灸やマッサージなどの単独の資格はあるものの、漢方医師としての総合的な国家資格はもちろん、漢方を専門に教える国立大学すら存在していない。このような環境のもとでも、幸いに多くの専門家の努力で漢方医学が今まで息絶えずになんとか残ることが出来た。

いずれにしろ、中医学と漢方医学はどちらも生薬を用いるため、一般の人からすれば混同されやすい。ただ本場、中国の中医学で使う生薬は、日本の漢方医学の生薬で使う種類・量よりも非常に多く、また患者を診断する方法にも根本的に大きな違いがあることには留意しておきたい。

上海の一般市民はこれら中医薬で公的保険による治療も受けられるほか、癌など特定の疾患の患者に対しては、専用の公的保険を設けるなど、中医学は広く政府からも支持を受けている。また中国では医師資格をもった中医学専門家が中医学的な治療および西洋医学的な検査も同時に行うため、症例数も多く、応用範囲も広い。実際に日本で漢方が効かなかった患者でも、こちらにきて効果が出てきた人も少なくない。



中医学系の専門病院

伝統医学の取り組みに対して、日本と大きく違うことは、やはり中国には中医学専門の総合病院があることだろう。もちろん入院施設もあり、さまざまな患者を受け付けている。上海には中医学を専門に教える上海中医薬大学があり、市内3箇所に付属病院を持っている。中医学の専門病院とはいっても、れっきとした病院である以上、西洋医学の各種検査や、救急の患者も受け入れ、西洋医学による治療も行っており、中国伝統医学を守る任務のほかにも地域医療にも貢献しているのだ。

また日本の病院では一般に「東洋医学科」など、伝統医学関連の科は一つにまとめられている場合が多いが、中国の病院ではさらに、中医内科、中医外科、中医小児科、中医婦人科、中医骨傷科(整形外科に相当)、鍼灸科、推拿科など代表的な各科のほかにも、病院によっては腎臓内科、腫瘍科、皮膚科、老年科なども設定されており、よりきめ細かな患者のニーズに専門家が対応できるようになっている。従って、検査や西洋医学的治療は西洋医学系の病院で受診し、中医学など生薬や鍼灸を使った治療は、中医学系の病院で受診するなどの使い分けをしている患者も少なくない。


中医学で病気を診るということ

中医学は患者の過去からそのときまでの変化とその症状を非常に大切にする。一方で、「慢性胃炎」というような病名だけを言われても、すぐに最適な処方を組むことができない。

中医学ではよく全身を診るという言い方がされる。「整体概念」ともいうが、そのために医師は患者から様々な主観的な情報も得なければならない。これは検査の数値データからだけでは分からないものであり、いってみれば患者が診察室に入った瞬間から、医師の観察が始まるのだ。

中医学といえば、舌や脈を診ることは非常に有名だが、この舌と脈は非常に多くの情報を提供してくれる。舌は主に苔の状態や色、形などをみる。脈は、脈の力強さ、位置、間隔、規則性などを総合的に判断する。ここで注意したいのは、診察を受ける前に、激しい運動をしたり、舌の苔の色が変わるような食べ物(飴や飲料水、薬など)を食べないようにしたい。

脈や舌を診ながら、医師は患者にさまざまな質問を行う。暑がりか寒がりか、喉が渇くか渇かないか、睡眠は、などなど一見すると自分の病気と関係のないような質問をする場合もあるが、これらすべての情報が実は生薬を処方する上で極めて大切な役割を果たす。たとえば「慢性胃炎」でも、どのような痛みがあって、痛む時間はどのくらいか、などきめ細かく質問した上で、初めて生薬による処方の骨組みが作られていくのだ。そうやって骨組みができると、医師は患者の前で、スラスラと処方を書いていく。どんな患者でも時間とともに様態は変化するので、普通は2週間程度の処方を出すのが限度だ。初診の場合は長くても1週間後ぐらいに再診する。そして患者が来るたびに、処方を書き改めていく。同じ処方を変化なしに盲目的に長時間服用することは、生薬といえども副作用の危険があるのだ。過去に日本で起こった漢方薬による副作用の背景に一部患者による長期服用の問題があったことは否定できない。従って、たとえばAさんに効いた処方が、そのままBさんにも効く、ということはほとんどありえず、それぞれ細かな微調整が必要とされる。

生薬だから効果が遅い、とよく言われるが、実はそうでもない。自分の症状に本当にぴったりとあった処方にめぐり合えれば、劇的に変化する場合も多い。1ヶ月以上続いた咳が、生薬を服用し始めてから3日で納まった、というような例も少なくない。しかし残念ながら、日本人の患者の多くは、慢性状態になってから中医学や漢方医学の門を初めて叩くので、なかなか思うように治療効果があがらない場合も多い。実は西洋医学同様に、中医学でも早く手を打てば、それだけ早く治すことができるのだ。

中国の病院で生薬による治療はもちろん、針治療や推拿を行うのも、みな中医学の医師であるために、様々な検査を受けることができる。場合によっては肩こりで針治療や推拿を行う場合でも、X線、CTなどの検査で原因を突き止めてから治療を行う場合もある。伝統医学による理論だけではなく、西洋医学による分析も交えながら治療を行えるのは、中国での中医学治療の特徴とも言える。また針治療や推拿による治療で、生薬を併用すれば効果が見込まれる場合は、生薬も当然処方される。中薬と針、推拿はどれも中医学の範疇に入り、同じ理論を母体としている強みであると言えよう。

忘れてはならないのは、生薬を服用したあとの体の反応だ。人によっては、下痢を起こしたり、まれにアレルギー反応を起こす人もいる。生薬を服用後の体調の変化にはくれぐれも注意し、自分にあっていないと思えば、服用を中止して、医師と相談することを忘れないようにしたい。多くの場合は中薬そのものが悪いわけではなく、処方自体に問題がある場合が少なくない。これら患者の反応をもとに、処方が改良されていく。


典型的な生薬の煎じ方

煎じ薬を最近はパックにいれてくれるサービスもあり、自分で煎じる必要もなくなってきた。しかし自分で煎じることができれば、煎じる過程で生じる匂いや、なにより生薬自身を自分の目で確かめることができる。まさに「中医学的アロマテラピー」が自宅で体験できるわけだ。また医師によっては、煎じた生薬のガラを患部に塗りつけたりして皮膚病を治療する場合もあり、もし条件が可能なら、ぜひ自分で煎じてみたいところだ。

(1)煎じる鍋は、陶器のもの、とくに砂鍋がお勧め。これら薬を煎じるための鍋はスーパーなどで手に入る。鉄・アルミ・銅などの鍋は金属イオンが生薬と反応する恐れがあるため、お勧めできない。

(2)生薬は1日分が1つの紙包みのなかに入れられている。包みの中に「先煎」「後下」と書かれた袋があれば、取り出す。そして紙包みの中の生薬を全部、鍋に入れる。「先煎」とは、磁石などの鉱石類や貝殻などの生薬で、有効成分が溶け出しにくいものに対して、まず先に30分ほど煎じておくために別の袋に入れられている。また「後下」とは薄荷や大黄など通常に煎じると有効成分が容易に揮発してしまうために、煎じ終わる数分前に入れるために分けられている。

(3)鍋に水を入れる。水の量は、生薬が全部水に浸かって、さらに2センチほど水が上に出てくるぐらいが目安。一般には20~30分ほど水が生薬にしっかりと浸透するように浸しておく。

(4)水にしっかりと浸かったら、火にかける。沸騰するまでは強火でよいが、沸騰したら弱火にし、そのまま15分程度煎じる。

(5)煎じた後に、中身の生薬をしっかりと押さえて、まず1回目の煎じ液を別の容器に移す。

(6)さらに水を足して、同様に2回目を煎じる。1回目の煎じ液と2回目の煎じ液をあわせた後、これを通常朝夕2回に分けて服用する。

服用時間

生薬の味は、成分によっても多少異なるが、総じて苦い場合が多い。あまりにも苦い場合は、慣れるまで砂糖などを少し入れて服用してもよい。また煎じ液は熱いまま服用するのが望ましい。熱いまま服用すると、苦い味もあまり気にならない。また多くの処方は1日2回に分けて、朝晩の食前1時間前に服用する場合が多い。ただし処方の性質によって変わるため、医者の指示に従ってほしい。


中医治療は正規の病院へ

昨今の東洋医学ブームに乗って、上海でも中医学の看板を掲げた美容院やサウナが出現し始めている。しかし、法律的には医療機関以外で治療目的で鍼灸や推拿、抜罐をするのは中国でも違法になっている。中国の中医薬を管轄している国家中医薬管理局によれば、現在中国各地に「中医」という名のものとで、推拿・按摩・抜罐・刮●(=やまいだれの中に沙)を行う医療機関以外の施設が急増し、利用者を誤解させているとし、今後さらに監督を強めていく方針だ。



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